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地方創生・・・日本でも導入が進む地域経済活性化政策 “エコノミックガーデニング” とは?

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さて今日は、日本でも具体的に導入の動きが出てきた「エコノミックガーデニング」という取り組みについて、見てみたいと思います。

「エコノミックガーデニング」とは?

エコノミックガーデニングとは、地域経済を「庭」、地元の中小企業を「植物」に見立て、地域という土壌を生かして地元の中小企業を大切に育てることにより地域経済を活性化させる政策のことです。

地方創生に欠かせないのは、その地域自身の「稼ぐ力」を強くし、雇用吸収率を高め、利益を地元に還元することです。

かつては、大企業を地元に誘致することが、雇用の拡大に繋がり有効な策とされていました。

しかし、それだけだと利益は大企業の本社のある東京などに流出してしまい、地元になかなか還元されません。

これに対して、地域の企業が生み出した利益は地域に還元されます。特に、小規模企業は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在です。

このエコノミックガーデニングという取り組みは、元々アメリカで開始されたものだそうです。

1989年に、アメリカのコロラド州リトルトンでこの取り組みが始まり、アメリカ中小企業白書に依れば、リトルトンでは、1990年から2005年までの15年間で、新規雇用者数は1万4,907人から3万5,163人へ、約2.3倍増という驚異的な実績を挙げました。

アメリカ全体の平均である約2割増の約6倍と、雇用創出効果の高い施策であることが分かります。

また、その15年間で税収も約3倍を実現し、現在では全米の多くの都市に広がりを見せているそうです。

徳島県鳴門市の取り組み事例

日本でも、静岡県藤枝市や徳島県鳴門市、あるいは大阪府などでエコノミックガーデニングが導入されています。

実際に鳴門市の取り組み事例を確認してみます。(こちらの記事参照)

鳴門市の産業は、商工業ともに商店数・事業所数、従業者数、商品販売額・製造品出荷額が減少していました。

そして、この傾向は将来的な人口減少や高齢化の進展により、ますます進展すると想定されます。

そのような状況で、持続可能な社会をつくるためには、中小企業の成長による雇用の創出や税収の増加が必要不可欠として、エコノミックガーデニングの導入が進められたのです。

実際には、中小企業の新しい取り組みを支えるための「産・学・公・民・金」のネットワークを構築し、企業家同士の交流促進や地元企業のニーズに応じた支援を中長期的に実施しています。

エコノミックガーデニングは、下図のように行政や経済団体、経営者、学校、市民団体、金融機関など様々な機関や人が連携・協力することで地域が一体となって取り組み、より効果的に実施することを目指しています。

鳴門市では、下図のネットワークを構築しながら、エコノミックガーデニングを推進しているのです。

鳴門市の取り組み

最後に

エコノミックガーデニングの推進には、「産・学・公・民・金」の連携が不可欠とされています。

最近の石破茂地方創生担当大臣の発言に出てくる、地方創生には「産・官・学・金・労・言」の連携が必須、という言葉に通じるものですね。(こちらの記事参照)

石破大臣の言う「産」は民間企業、「官」は 市役所、町村役場、「学」は高校、大学、「金」は地方銀行、「労」は労働組合、「言」は地方のメディアを指します。

そして、石破大臣が先日、佐賀市・小松市を訪れた際には、佐賀市の有田焼や小松市の久谷焼を例に「世界に売ることができる逸品である」と強調しました。(こちらの記事参照)

いずれも、その地域の「稼ぐ力」をアップさせることが大切、との思いから出た発言でしょう。

地域経済の発展には、行政だけでなくさまざまな立場の人たちの協力が必要です。

地域経済を「庭」、地元の中小企業を「植物」に見立て、地域という土壌を生かして地元の中小企業を大切に育てる、というエコノミックガーデニングという考え方は非常に理解しやすく、今後もさらに普及していくと思われます。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
 

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(2016.4.22記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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