閑話休題。
熊本地方を中心に続く余震や新たな地震により、九州地方の被災された方々の避難生活の長期化が確定的です。今後の住宅対策について、政府を中心に取り纏められているようですが、早い対応が望まれます。
さて、そんな中、つい先月締結されたばかりのJALとイオンの緊急物資輸送協定が、早くもその威力を発揮したことについて今日は書いてみます。
「緊急物資の輸送に関する覚書」の締結
日本航空 (JAL) と流通大手のイオンは、有事の際に両社が協力して緊急物資の輸送にあたることを定めた「緊急物資の輸送に関する覚書」を、2016年3月4日に締結しました。(こちらの記事参照)
東日本大震災の発生時も、両社は翌日から緊急支援物資の空輸などで連携しましたが、航空会社と小売業が同様の取り決めを締結するのは、国内で初めてのことだそうです。
「緊急物資の輸送に関する覚書」の概要は、次の通りです。
- 災害発生に伴い地域住民が避難している場合などに、イオンは緊急物資の国内空輸をJALに依頼し、JALは 一定の条件下でこれに無償協力する。
- 国や自治体などから同様の依頼をJALが受けた場合、搭載順位はJALにて決定する。
- JALとイオンは災害発生時の連絡窓口を定める。
そして、2016年3月7日には緊急支援物資の輸送演習が行われました。実際の貨物を羽田空港で積み込み、徳島空港に空輸したのです。
熊本地震で緊急物資輸送協力が実現
地震発生後、熊本空港は管制塔が4月16日未明の本震で機器が散乱、使用不能になり、一時閉鎖されました。
そのため、16日は救援物資を搭載したJALの臨時便は長崎空港に着陸しました。救援物資は、イオンが熊本県上益城郡に向けて用意した緊急避難用大型テントでした。
その後、熊本空港の滑走路や灯火類は大きな被害がないことが確認され、管制官は気象事務室へ避難し、小型無線機で業務を継続。自衛隊の輸送機などが24時間離発着できるよう運用を再開しました。
そして、4月17日夜には、救援物資を積んだJALの臨時便が伊丹空港から到着。イオンが熊本市から要請された毛布3000枚を、ボーイング767型機で運んだのです。
長崎空港、そして熊本空港に到着した救援物資は、いずれも空港から陸上自衛隊が輸送したとのことです。
東日本大震災の教訓が生きた事例
JAL・イオンの迅速な対応は、緊急物資の輸送に関する覚書締結、そして輸送演習が行われた直後ということもあって可能になったことでしょう。
災害発生後に連携するのではなく、普段から輸送時の課題を洗い出し対策を練っていたということは、東日本大震災から取り組みが一歩進んだことの証しです。
被災地では、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート各社が、建物被害の大きい店舗を除いて営業を再開し、隣接県などの工場からの物流ルートを確保し、生鮮食品や肉・魚などの販売も再開されつつあります。
まだまだ、量的に十分ではないようですが、ここにも東日本大震災の教訓が生かされているのです。
こうした事例は、航空会社・スーパー・コンビニなどが、日々の生活に欠かせないインフラ事業という面で、同じ社会的使命を有していることを改めて証明しました。
先日このブログで、地方創生関連として「イオンが千葉市・異業種企業と連携して “地域エコシステム” の取り組みを開始」という記事をアップしました。
こうした取り組み同様、企業と行政、あるいは、異業種企業同士によるパートナーシップは、今後の被災地復旧・復興事業においても重要な役割を果たしていくのではないでしょうか?
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.4.23記)