さて今日は、以前当ブログでご紹介した以下の記事の続編をお届けします。
地方創生・・・田舎町にネット高校が誕生!高校卒業資格が得られる通信制高校の教育システムが稼働! | Enjoy Second Stage
現役大臣が民間企業単独のカンファレンスで基調講演
「カドカワ 地方創生と教育に関する発表会&カンファレンス」の基調講演に立ったのは、石破茂地方創生担当大臣。(こちらの記事参照)
現役の大臣が、1社単独のカンファレンスで基調講演を行うのは、極めて異例のことです。
それにはれっきとした理由がありました。
石破大臣が担当する地方創生の領分において、教育は切っても切れないテーマだからです。
軽妙なトークで会場は大爆笑に
基調講演で、石破大臣は次のような軽妙なトークで、会場に大爆笑を誘ったそうです。
小中一貫の教育を受けてきましたが、県立高校だけは行きたくありませんでした。
当時、私の父親は鳥取県知事。『お前の息子、できが悪いぞ』なんて県立高校の先生が県知事を呼びつけるのには相当な勇気が必要になるからです。
笑っていられない地方自治体の1/4で高校消失
当ブログの記事でもご紹介しましたが、現在、日本には1,740の地方自治体があり、その約1/4の市町村で高等学校がない状態だといいます。
これは、少子高齢化による教育世代の減少で、高校の統廃合が進んだ結果です。
高校がなくなってしまった地域では、教育を求める子育て世代が高校のある地域へ引っ越してしまう事態が起きています。
人口減少が教育格差を生み、その教育格差がさらなる人口減少を促すという悪循環に陥っているのです。
子育て世代=働き盛りが地方から都市部へ移住してしまっては、地方創生なんてままなりません。
地方創生を担当する石破大臣としては、見過ごせない事態でしょう。
「N高」そして「Nセンター」プロジェクトへの取り組み
石破大臣の基調講演に先立ち、ドワンゴから「地方創生と教育に関する新たな取り組みについて」という発表がありました。
ドワンゴ、カドカワが教育でどのように地方創生に関わっていくのか…そのカギは今年4月に開校したばかりN高等学校です。
次の動画を見ると、1分間でN高の内容が理解できます。
バーチャルだけでないリアルな「場」を提供する
そもそもN高は、ネットで授業を受け、ネットでレポートを提出し、ネットで高校卒業資格が得られる教育システムです。家庭にパソコンがあればわざわざ外出する必要はありません。
しかし、役場の一部や廃校、空き家などを活用したNセンターという “物理的な場所” を設け、そこに生徒が通うという仕組みを採っているのが大きなポイントです。
そして、“ネットで完結する学習”という以外に、カドカワが得意とする「文芸小説創作授業」、ドワンゴが領域とする「プログラミング授業」、グループのバンタンが本業とするファッションやデザインの「クリエイティブ授業」といった多彩な課外授業があります。
また、そうした課外授業と並行して、地方自治体と連携した「職業体験」やグループワーク、キャリア学習に取り組むというリアルな体験学習により “知識の豊富さ” だけでなく “知識の応用力” を学べるはずです。
「高校魅力化」に取り組んでいる “先達” の高校
では、Nセンターの取り組みが本当に地方創生につながるのか?・・・その答えのヒントは、「高校魅力化」に取り組んでいる “先達” の高校にありそうです。
石破大臣が、基調講演の中で絶賛したというのが、島根県立隠岐島前 (どうぜん) 高校の取り組みです。
(画像出典元 : 同校案内パンフレット)
隠岐の島という地理的に不利ともいえる立地にあって、高校魅力化に2008年から取り組み、生徒数を増やしているそうです。
「島留学」をうたい、島外からの生徒を募ったほか、「特別進学コース」「地域創造コース」を用意。特に後者は体験型・課題解消型の学習や島ならではのカリキュラム、企業などへのインターンシップに重点を置いているとか。
ネットとリアルの融合は一つの知恵
インターネットと高速通信回線の普及により、時間と距離の差を超えて、さまざまなことが可能になりました。
しかし、若者にとってリアルな場における他者との交流や、新たな体験を通じて学ぶ重要性は変わっていません。
N高というネットを活用した教育システムをベースに、リアルな場を提供し、そこに通うことで体験学習を積むことができるNセンターは、これからの日本にとって、そして地方創生にとって大変重要な「教育」の場を提供してくれそうです。
豊かな自然に囲まれ、いろんな体験を通して豊富な知識を得ると共に、その知識の応用力を育んでくれたら…と思います。
自分が高校生だったら、都会を離れてNセンターで思いっきり学んでみたいと思うほどです!
・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
・・・・・・・・・・・・
(2016.6.3記)