さて、やっと正常化した国会で先日 (2016.4.14) 、改正地域再生法が成立し、平成28年度 地方創生関連予算等も可決・成立しました。
その内容については、このブログ記事でもご紹介しました。(記事①、②参照)
そして、同日の国会衆議院本会議では、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」の趣旨説明および質疑が行われました。
今日は、その内容を確認してみます。(こちらの記事参照)
地方創生には地方分権が必要
これまでも、地方分権についてはさまざまな議論がありました。
最近では、中央省庁などの政府機関の地方移転が検討され、結局文化庁の京都移転のみという流れになった時に、地方分権の話題が浮上しました。
その時の論調などは、このブログ記事でも触れています。
日経新聞の「政府機関の移転にとどめるな」という記事には次の記載がありました。
政府機関の移転は必要だが、それだけでは効果は限られる。政府は活性化の障害になる規制を見直し、地方に権限や財源を移すことにも、もっと力を入れるべきだ。
今国会の法案趣旨説明と質疑の内容
まず、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」の趣旨説明が、石破茂地方創生担当大臣からありました。
その要旨は、以下の通りです。
地方分権改革とは、地域が自らの発想と創意工夫により、課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマ
住民に身近な行政を、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、国から地方公共団体または都道府県から市町村への事務・権限の移譲、地方公共団体への権限の付与、地方版ハローワークの創設等を行う
地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務付け、枠付けの見直しを行う
これに対して、民進党の青柳議員が質疑を行います。主な内容は次の4点です。
地域主権改革と道州制の検討
地方創生のあり方
中央から地方への事務・権限の委譲
地方版ハローワークの在り方
最後に
民進党の青柳議員の発言の中に、以下のものがありました。
安倍政権では、骨太な改革議論は影を潜め、官僚主導、一部族議員主導の政治が蔓延していると言わざるを得ない。
地域主権改革・地方分権に必要なのは、権限・財源・人間の「3ゲン」を徹底的に委譲すること。
一方で、最近の石破大臣の講演や発言の内容については、以下の記事でもご紹介しています。
石破茂地方創生担当大臣の佐賀市・小松市における意見交換会・講演内容から考える
この記事でも書いたように、石破大臣の危機感は「やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、無関心の市民」という発言に表れているように感じます。
また、神戸新聞のサイトに掲載された記事によると、石破大臣は先日 (2016.4.17) 兵庫県西脇市内で講演し、以下のような発言をされたと記載されています。
石破大臣は、「地方創生の失敗はこの国の滅亡を意味する」と強調し、更に「人口減少は静かなる有事。今までの予算のあり方がそのまま通じるほど甘くない」と訴えた。
今、懸念されるのは、中央から地方に権限・財源・人間の「3ゲン」を徹底的に委譲すれば、それで問題が解決するのか、効果が表れるのかという点です。
ここで、石破大臣が「やりっぱなしの行政」と指摘しているのは、どういうことか整理してみます。
それは、これまで国から補助金や交付金を獲得し、その予算消化を仕事としてきた地方自治体は、予算を投じた事案の効果検証を怠ってきたことを指して「やりっぱなし」と指摘しているのです。
国から配分された補助金や交付金から、多額の予算を投じて建設した商業施設などが、その後うまく運営されているのか、といった効果検証がなされていないというのです。
結果、その後の運営は大赤字となり、残ったのは膨大な維持管理費を自治体が負担することになっただけ、という事例も多いとか。
そうした地方自治体に、ただ権限・財源・人間を移譲して、大丈夫なのでしょうか?
まず、地方分権改革に必要なのは、第一に地方自治体改革だという気がしてなりません。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.4.19記)