さて、一昨日・昨日のブログ記事で、「政府関係機関地方移転基本方針」の内容と新聞各紙の論評内容などをご紹介しました。
その後、地方分権の視点を欠いた地方移転である、と指摘する報道がありましたので、今日はこの点を考えてみます。
新聞2誌の論評
まず、昨日もご紹介した日経新聞の「政府機関の移転にとどめるな」という記事に次の記載があります。
今回の基本方針で、経済産業省などの出先機関の強化を打ち出した点については、下手をすると行政の肥大化を招く。地方分権にも逆行しかねない。
地方創生は計画段階から実行段階に移る。地方を活性化するためには、地域が自らの知恵と責任で息長く事業に取り組む必要がある。
政府機関の移転は必要だが、それだけでは効果は限られる。政府は活性化の障害になる規制を見直し、地方に権限や財源を移すことにも、もっと力を入れるべきだ。
そして、中日新聞の社説「政府機関移転 地方分権の視点を欠く」では、次のように指摘しています。
安倍政権による政府機関の地方移転が決定的に欠く視点がある。地方分権の発想だ。
東京一極集中の主な要因は中央政府への権限、財源の集中だ。政府機関が地方に移転しても、中央政府が権限と財源を握り続ける限り、中央集権という「国のかたち」を変えることはできない。一極集中の是正効果もわずかだろう。
安倍政権が、東京への過度の集中是正と、魅力ある地域づくりを本気で目指すのなら、中央政府の権限と財源を地方自治体に思い切って移譲することが必要だ。
全面移転の方針決定が文化庁にとどまったのも、権限と財源に固執する官僚の抵抗が強かったことの表れではないのか。
すべての省庁の仕事を洗い出して、役割を終えた規制や組織は廃止する。その上で、権限や財源は可能な限り地方の自治体に移譲することが、望ましい進め方だ。
魅力ある地域社会をつくろうとするのなら、分権型社会に移行することが必要だ。中央集権型の国家像を乗り越えてこそ、本物の「地方の時代」は到来する。
地方自治体に権限と財源を受け入れる覚悟と準備は整っているか?
日経新聞が指摘しているように、「地方を活性化するためには、地域が自らの知恵と責任で息長く事業に取り組む必要がある」のは、至極尤もだと思います。
そのためにも、地方分権を進め、中央に集中している権限と財源を思いきって、地方に移譲する必要があるのも事実でしょう。
ただ、ここでちょっと疑問と不安を覚えるのが、地方自治体にそれだけの覚悟と準備は整っているのか、という点です。
今でも、十分に機能する自治体もあれば、まだまだ準備不足の自治体もあるのではないでしょうか?
そのためには、中日新聞が指摘しているように「すべての省庁の仕事を洗い出して、役割を終えた規制や組織は廃止する」、そして、優秀な官僚を支援が必要な地方自治体に派遣し、権限と財源と共に「人材と情報」というリソースも提供する必要があると考えます。
政府には、地方分権の将来像・展望を描き、政府機関の地方移転と共に、それをどのように実現していくのか、というロードマップを提示して欲しいと思う次第です。
・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
・・・・・・・・・・・・
(2016.3.26記)