さて、私事で恐縮ですが、昨年来毎月のように富山に出張しています。そして、美味しい海の幸、山の幸をご馳走になっています。
そこで、今日はご縁のある富山が取り組む地方創生の施策に注目してみたいと思います。
「健康都市」を目指す!
富山市は、地方創生を目指す「まち・ひと・しごと総合戦略」の中で、「健康都市」を掲げています。
具体的に高齢者関連では、公的保険の対象外となるヘルスケア産業を創出するとしています。
健診・簡易検査・健康食品・サプリメント販売・高齢者就労などを想定して、社会保障費の削減を目指すのです。
社会保障費を削減を削減するためには、高齢者に健康に暮らしてもらうことが不可欠です。
富山市では、65歳以上の高齢者のうち、介護保険の要支援・要介護認定を受けていない人は、2014年10月時点で81.4%。この水準 (80%以上) を、2019年度まで維持する目標を立てています。
これまでの施策で効果を挙げているのは、JR西日本の富山港線を第三セクターが引き継いで路面電車化し、バリアフリーの低床車両を導入した富山ライトレールがあります。
2006年4月の開業前後に行った富山市の調査では、60代以上の利用者が平日で3.5倍、休日では7.4倍に増加したそうです。高齢者が気軽に外出する手段があれば、健康寿命も延びます。
富山市が期待している施策の一つに、県とセブン-イレブン・ジャパンが今年 (2016年3月) 締結した「連携と協力に関する包括協定」があります。
県産品の販路拡大、高齢者・障害者支援、子育て支援、災害対策など11分野で相互の連携を強化するという内容です。
高齢者・障害者支援では、県内のセブンイレブン店舗で実施している宅配サービスを通じた高齢者などの見守りや高齢者雇用を促進することが盛り込まれています。
伝統の薬業で人材育成・確保・定着に挑む
富山といえば「富山の薬売り」が有名ですね。置き薬が入ったつづらを背負い、定期的に家にやってきて薬箱に薬を補充して帰る…独特のビジネスモデルです。
富山から全国へ訪問販売に出て行く売薬さん (配置販売従事者) の数は、1961年の1万1,685人をピークに以降急速に減少しました。
その大きな原因は、1958年に公布された国民健康保険法により国民皆保険制度が始まったためと言われています。
健康保険を使えば安く医療用医薬品が手に入るので、置き薬をはじめとする一般大衆薬の需要は急減したのです。
富山県の統計では、県内の売薬さんの数は2014年時点で860人まで減ってしまいました。
しかし、富山市では伝統産業である薬業を活かし、これを地方創生の一つに据えて「研究機能、展示・広報機能の整備などにより、人材の育成・確保・定着を図る」としています。
現在の富山は、ジェネリック (後発) 医薬品の受託製造工場としての役割が増しています。富山市内に本社があるジェネリック医薬品大手の「日医工」が有名ですね。
最後に
以前当ブログの記事で、「日本版CCRC」についてご紹介しました。
CCRC (Continuing Care Retirement Community) とは、継続的なケアを受けられる高齢者の地域共同体を指す米国生まれの言葉で、健康なうちから移住し、医療や介護を受けながら活動的に暮らす「終の住み処 (すみか) 」と位置づけられています。
現在、全国で33の地域が移住候補地となっており、富山県富山市もその1つに入っています。
実際に何度も富山を訪れて感じるのは、海の幸の宝庫である富山湾、そして見事に連なる立山連峰という実に自然に恵まれた立地であることです。
日本海気候ということで、冬の厳しさもありますが、それがあってこそ越前ガニなどの美味を楽しめるというものです。
また、数あるスタバのお店の中で「世界一美しいスタバ」と称されるのが、富山環水公園にあるお店です。
こうした環境に恵まれた、大好きな富山です。当ブログでたびたび書いている「産官学金労言」の連携を深めて地方創生に邁進し、是非成果を挙げて欲しいと思う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.6.13記)