さて、やっと正常化した国会で改正地域再生法の成立、平成28年度 地方創生関連予算等の可決・成立、そして地方分権に関する法案趣旨説明・質疑などがありました。
その内容については、このブログの一連の記事にアップしています。(記事①、②、③参照)
そして、先日 (2016.4.15) の衆議院地方創生特別委員会では、地方創生に関する一連の施策について、現状を確認する質疑が行われました。(こちらの記事参照)
地方創生人材支援制度について
この制度は、人口5万人に満たない小規模市町村に対し、当該地域に応じた処方箋作りを支援する目的で、中央省庁の官僚や、大手企業の社員を派遣するという内容で、平成27年度からスタートしました。
また、市町村等の要望に応じ、その地域に愛着、関心を持った意欲ある省庁の職員を相談窓口として選任する、地方創生コンシェルジュ制度もスタートしています。
これらの制度がスタートして、まだ1年ちょっとですが、地方創生人材支援制度は、平成27年度は69市町村、28年度は58市町村に派遣をするということで進められています。
石破茂地方創生担当大臣は、質疑の中で次のように答えています。
「なんでもいいから中央の政府に顔の利くスーパー役人みたいなものを欲しいなんて言われても困るので、何をやりたいですかと。そのためにどんな人がいりますかというニーズを承り、そして我々の側も、俺が東京から行って教えてやるぜ、みたいな人は行かなくていいので、人材のマッチングには十分注意しているのです。」
また、地方創生コンシェルジュ制度では、地方自治体に課せられた「地方版人口ビジョン」「地方版総合戦略」作りや「地方創生関係交付金」の申請にあたって、都道府県から57件、市町村から296件と、合計353件の相談が寄せられたと報告がありました。
地方創生カレッジについて
以前、このブログでも注目してこちらの記事をアップしましたが、まちづくりなどの知識をインターネットで学ぶことができる、地方創生カレッジを年内に開校する予定と発表されました。
このカレッジでは、5年間で500人以上の専門家を育成し、自治体の首長の補佐役や地域のリーダーとして、地方創生に関わる人材の輩出に繋げていきたい考えだと報道されています。
受講者として想定されているのは、地方公務員だけでなく、民間の地方創生の志のある人たちも対象になっています。
具体的なカリキュラムは、これから決まるようですが、例えば、地方創生に関する各分野の第一人者などによる講義、あるいは、DMO・生涯活躍のまち・まちづくり、そうした個別分野に関する専門の講座、あるいは、まちづくりそのものの基礎講座などが想定されています。
地域おこし協力隊について
こちらについても、このブログでその内容を確認した記事をアップしました。
平成21年度に創設された制度ですが、平成27年度には2,625名、受け入れ自治体も673自治体と、大幅に増加しています。
また、その4割が女性、20代・30代の隊員が約8割を占めていて、若い女性の活躍が目立っています。
3年程度の任期終了後の定住を促進するため、活動資金の確保や技術・知識の習得などについて各種支援・サポートを手厚くしていく政策もあり、隊員の2割はその地域で起業しているとか。
平成28年度からはふるさと納税を活用した隊員の起業を応援する仕組みとして、クラウドファンディング官民連携推進事業などの取り組みも開始され、定住・定着に向けた支援が拡充していくはずです。
最後に
今回、委員会で討議された「地方創生人材支援制度・地方創生カレッジ・地域おこし協力隊」については、それぞれ目的は違いますが、いずも「人」に関連したことです。
地方創生に貢献できる人材を育て、中央省庁から地方に派遣する、民間から協力隊員として参加する、そして地方創生のプロを育てる、そうした地道な取り組みが地方創生には必要です。
なかなか短期的な成果を期待するのは無理だと思いますが、息の長い取り組みを続けて欲しいと思います。
なお、今回の熊本地方を中心とする一連の地震災害により、東北地方に加えて九州地方の広い地域の復旧・復興が大きな課題となりました。
被災地の復興は、地方創生として最優先で取り組まなければならない事項でしょう。
平成27年度の補正予算で「地方創生加速化交付金」1,000億円が計上され、平成28年度予算でも「地方創生推進交付金」1,000億円を含む地方創生関連予算として総額約 2兆5,500億円が計上されています。
こちらの記事で書いたように、交付金の対象となった事業には「?」と首を傾げたくなるようなものもあります。
どうか血税の無駄遣いがなされることなく、被災地の復旧・復興に資する予算となりますように。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.4.21記)