さて今日は、文化庁の京都移転に関する具体案を検討する「文化庁移転協議会」の初会合が開かれたので、その内容を確認しておきます。(こちらの記事参照。冒頭の画像はこの文部科学省のサイトから引用しました)
文化庁移転協議会開催までの経緯
政府が、東京一極集中の是正策の一つとして打ち出した中央省庁の地方移転検討については、当ブログでも度々お伝えしてきました。(記事 ①、②、③、④、⑤ 参照)
大々的に喧伝された地方移転ですが、結果として、文化庁の京都移転が決定、消費者庁の徳島移転と総務省統計局の和歌山移転については実証実験を通して検討を進め、8月末までに結論を得るとなりました。
一方、その他移転の検討対象となった観光庁、特許庁、中小企業庁、気象庁は地方移転が見送られました。
大山鳴動して・・・という感を拭えないのは、間違いありません。
第一回文化庁移転協議会の内容
「文化庁移転協議会」の初会合は、4月26日に都内で開かれ、馳浩文部科学相、石破茂地方創生相、京都府の山田啓二知事、京都市の門川大作市長、関係省庁の幹部らが出席しました。
国機関移転の基本方針で、数年以内に「全面的に移転する」と明記したのを踏まえ、最大9割程度の人員を移すことが可能か検証し、8月末までに概要を取りまとめる、としています。
政府側の説明によると、文化庁の定員約230人のうち国会対応などの一部業務を除き、長官室も含めて京都に移す方針です。
次長は2人に増員し、京都と東京に2人ずつ配置。数十億円と見込まれる庁舎や職員宿舎の整備費は国と府などが負担割合を今後調整していきます。
初会合では実務的な内容を議論する幹事会を置くことを決めたほか、今後の検討課題として、文化庁の機能強化、移転後の東京での事務体制の構築、移転時期や費用の見積、情報通信技術の活用について検討を進める方針が示されました。
石破茂地方創生担当大臣は「京都だけ盛り上がっていてもだめ。関西全体で応援しようという雰囲気が醸成されるともっといいなと思う」と語ったそうです。
最後に
200人程度の規模の文化庁が、京都に移転しても、東京一極集中の是正には焼け石に水でしょう。
マスコミの論調も、中央省庁の地方移転の検討について懐疑的なものが多いです。
確かに、合理性のみを追求すれば、国会とも近く規模のメリットを活かせる首都に中央省庁が集中している方がいいことは論を待ちません。
しかし、今やほんの近い将来に首都直下型地震が起きる可能性は高く、その時に行政の中枢に大きな被害が出て、機能が麻痺するリスクも高まっています。
大手金融機関などは、首都圏にあるデータセンターが被害を受けても、データを失わず早急に復旧できるよう、関西圏などにバックアップのデータセンターを構えていますし、そんなことは金融業界では常識です。
多くの省庁が、あちこちの地方にバラバラと移転すればいいわけではありませんが、首都直下型地震といったリスクへの備えとして、今回の文化庁移転に係るさまざまな問題事案への対応が今後に役立つとしたら、それはそれで有意義なことだと思います。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.4.29記)